沖縄、嘉例カリー

沖縄で、「乾杯!」は「嘉例!」(カリー!)と言います。
「嘉例」は、「よろこび」や「めでたい」、その瞬間に発生するコトバ、「歓喜」や「祝福」、総じて縁起がいいことを意味するコトバ。つまりは、“ハレの日のコトバ”として沖縄に浸透しています。

沖縄は今、食文化「カリー」の勢いが凄まじい。その時系列を辿ると…
世の中がLCCに注目しだした2012年、いわゆるLCC元年と言われ、全国に先駆けて関西国際空港に第2ターミナルが開業と同時にLCCが就航します。それでもまだ夜明け前。”気軽に手軽に行ける”格安航空旅行が頭角を現しだすのは、2013年終わりです。
2014年、成田、関空共に便数を大幅に確保しいよいよ本格参入、沖縄企業の最先鋒だったオリオンビールによる大型リゾートホテル「ホテルオリオンモトブ リゾート&スパ」(本部町)オープン。ここが、沖縄カリー以前以後の境界線だと考えます。沖縄が身近になることで、“沖縄に来たら沖縄料理”の固定概念に、B級グルメ的なものにも需要が生まれだす。ピッツァ、カリー、アセローラなど。
この時の沖縄カリーはというと、まだまだ、theインドカリーみたいな店はあったにせよ、それは”内地”でも普通に食べられるもので、独特な理念とコンセプトを持った、沖縄オリジナルな店としては、那覇の「食堂インド」や「ゴカルナ」あたりしか思い浮かばない程度でした。
そして、2015年、成田空港に第3ターミナルがオープンして、ジェットスター、ピーチ、バニラエアによる沖縄便が更に拡大します。本部町に「スーリヤ食堂」がオープン、そのあたりから“ミールス”のカリー、且つ沖縄素材のローカルカリーが注目されるようになりました。
2018年、読谷村に「コフタ」がオープン。以後、続々と沖縄カリー店が勢力を増していきます。
LCCの増便、拡大は、“気軽に手軽に行ける沖縄”訴求でその距離を縮め、沖縄そばやタコス・タコライスなどと共に、沖縄カリーも需要に応える沖縄の食文化として定着していった。こういうストーリーなのでしょう。
あくまでも仮説です。

今も拡大と進化を続ける沖縄カリー、古参のカリー屋も存在感を増し、新規参入組も仕掛けてくるないちゃーが多く、更なるマーケットの拡大は必至です。
都内では既に群雄割拠のカリー事情。王道のインドカリーというより個性豊かなスパイスカリーが主流で、女性一人でも気兼ねなく行ける食事処として人気を博すカリー店。
このサイトでも、沖縄在住エディターhina@hinaman0o2)が、新旧問わず沖縄スパイスカリーの名店をご紹介します!

那覇

食堂インド

沖縄県那覇市牧志3丁目8−29

創業/1995年

もはや老舗の風貌、食堂インド。
1995年オープンとのことなので、来年30周年だ。
初めてここのカレーを知ったのは、ちょうど10年前、目の前のハイアットがオープンする1年前の頃です。
あれから何度か利用する間に多くのカレー屋が誕生して、今や群雄割拠な中でもここは磐石、安定の一店でしょう。
お気に入りは、チキンビンダル(850円)と豆ごはん(280円)、すごく美味しい。
そして、中毒に近いここのピクルスがたまらなくいい。たまに、しっかり食べたいときは2種のカレーにナンとライス、タンドリーチキン、サラダ、サモサ、ヨーグルト、ティーが付いたAセット(1,800円)もオススメです。

スパイスカレー ゴカルナ

沖縄県那覇市楚辺1丁目1−2

創業/2011年

琉球王国時代、サバニに乗った海人たちのアグレッシブな漁は、日本海域にとどまらず、東南アジア海域やインド洋、ハワイ、南米、アフリカ、そして地中海にまで及んでたっていうんだから凄すぎる。
フランス皇帝ナポレオンやイタリア・イスキア島漁師をもビビらせた海人たち。
彼らは自国の外交とは別に自らの航海で、きっと初めて見る近隣諸国の食文化に触れていたに違いない。
それこそ、チャンプルー文化の原点なのでは。
インド界隈の諸国で香辛料にも絶対触れてるはずです。
最近の沖縄ランチの勢力図を変えてしまいそうなほどジワジワ来てる沖縄カリーも、必然なことなのかもしれませんね。
そして、沖縄カリー、ここを外すわけにはいきません。
たぶん、沖縄で初めて食べたカレーがこちらのカレー。10年前かな。学生の時からそのあとも、沖縄に来てカレーを食べることなどなかったし、意識すらしなかった。みなさんもそうでしょ?
定番のバターチキンカレー、美味しさ健在

Kenken Spice

沖縄県那覇市西1丁目16−26 2F MUSIC BAR

創業/2023年

バーとコラボ的なこちらは、カフェ&ミュージックバー「HiGH」がその舞台です。
ドラムやギター等々直ぐにライブできちゃう設備は、これまでの間借りの流れと異なる雰囲気の中、カレーをいただきます。
いただいたのは、バターチキンカレー、ポークビンダルーの2種盛り。1,200円。とてつもなく美味しい!
別添のコク旨オイルや青唐辛子オイル、香味スパイス、コーレーグース、フーチバーペーストをお好みで足しながら、副菜がこれまた豊富にどれもテマヒマ感じる絶品で、いろんな組み合わせを混ぜながら楽しむ。
これも、チャンプルー文化(”混ぜる”という意)、だ。
ゆるぎないMyヘビロテ沖縄カリー、2回目は、バターチキンカレーとキーマカレー。3回目は、月替わりメニュー「イカ墨と県産もずくのコリアンダーカレー」いただきました。美味しい!最後のアクセント、大葉のジェノヴェーゼで整いました。

穀雨curry

沖縄県那覇市首里汀良町2-21-102

創業/2021年

ちょうど一年前にオープンした超新星。
東京でも一つのカテゴリーになりつつある「間借り」ビジネスの那覇版、間借りカレー屋。(2022年当時)
そもそも毎週お世話になってる「SPICE POST」(代々木八幡)がそうだし(バーの間借り)、ここもそう。
飲食店とカレー屋との二毛作はやりやすいのかな。
頼んだものは、マンスリーのカレー(干しきのこのホワイトキーマ)+定番3種の全部のせ。めちゃくちゃ美味しい。
なんでも、移転先を模索中とのことで、間借り中は、水、金のランチのみ。
まあまあハードル高いけど、タイミングはまれば是非また次回も行きたい。

カレー屋タケちゃん

沖縄県那覇市壺屋1丁目18−38

創業/2021年

今やカレー激戦区の沖縄。どこもレベル高い。
バターチキンカレー
ゴボウと鷄キーマのスパイスカレー
の2種あいがけ(1,400円)、美味しかった!

Soup Curry and Chicken Confit SUNSHIN

沖縄県那覇市松尾2丁目24−5

創業/2017年

路地裏の店先に、テイクアウト用に並ぶ真空パックのチキンコンフィが気になってた店。ディナーでやっと行けました。
(ディナーは、金土日のみ。ランチは、月火金土日)
各方面からのお噂通り、そのチキンコンフィがすごく美味しかった!
ディナーでは、スープカリーと共にいただけますよ。スープカリーとチキンコンフィセット(1,200円税込)
ここはそれだけじゃない、みなさん口々に言うのは、そう多くない黒板メニューがシンプルで素朴だけど美味しいのだと。
おすすめの定番料理一つ一つが地味なりにも滋味に富み、とても美味しい。そして、驚き価格。
近所の「BOULANGERIE Le Pret a Porter」のバゲットがオプションで付けられたらもう言うことなし。

嘉例屋

沖縄県那覇市安里388−69 サカエールニライカナイ 2F

那覇・栄町の中に新しくできたカリー屋。カリー2種、チキンティッカ、サラダ、ナンorライスのCセット(1,500円)がお得です!

HICONACURRY

沖縄県那覇市牧志3丁目9−30 宮城店舗 B号室

創業/2020年

京都で5年研鑽を積んだスパイスカレー屋が、昨年1月22日、那覇桜坂に凱旋オープンしました。
場所は、那覇カレー界王者「食堂インド」のすぐ近く。
その桜坂に今も怪しげに残るバラック長屋の一角に出店とは、那覇出身の店主だからこそできる業です。
怪しくも味は確かで、数種類の野菜を使った自家製ブイヨンに20種類以上のスパイスを効かせた美味しいカレー。
また一つ、那覇のレパートリーが増えました。
店主、世界を知ってるから共感持てます。
昔、大好きなサッカーを観戦するだけでヨーロッパを駆け回ったっていうアクティブ派。
いいね。
いろんな世界観引っ提げてチャレンジするの、支持!

ヒロカリー

沖縄県那覇市前島2丁目11−15

「沖縄カレーグランプリ2023」でグランプリ受賞。ヒロカリープレートは、スパイスが効いたカリー、魯肉(ルーロー)、ココナッツグリーンキーマカレー、副菜、その全部が楽しめる人気メニューです。(1,500円税込)

大道CurryChan

沖縄県那覇市大道86

創業/2022年

沖縄カレーグランプリ2024特別賞受賞。10~13種類のスパイスを調合したオリジナルスパイスで作る「チキントマトカレー」(1,300円)が人気です。

ヤマナカリー別邸

沖縄県那覇市安里387−14 レジデンス安里 2F

泊から栄町に移転して尚、高い人気を誇る、「ゴカルナ」ルーツのスパイスカリー屋。メニューは2種、定番のチキンカレー(1,000円)と週替わりのカレー(1,100円)。そして、2種盛り(1,200円)。辛さやごはんの量を自在に変えられるスタイルで、那覇でもトップクラスの人気を誇るカリー屋です。

新小屋

沖縄県那覇市安里388−10

もつ焼き屋で食べる、ホルモンスパイシーカレー(400円)が、〆に絶妙にいい!

troubadrour

沖縄県那覇市久茂地3丁目5−10

たぶん、裏メニュー。那覇の裏路地バーでいただくお手製グリーンカレー。いつもあるわけではないと思うけど、あったらラッキー。

南インド料理 マリアラム

沖縄県那覇市松尾2丁目19−39 1F

創業/2020年

アーユルヴェーダ発祥の地、南インドのスパイスゴハンでココロもカラダも健康に。
南インド、アシュラムの精進料理とケララの家庭料理を融合した、自然栽培野菜、オーガニック野菜、減農薬野菜、などこだわり野菜ふんだんなヴィーガン料理。オリジナルミールス。
この完璧なコンセプトのもと、那覇に誕生した本格派はミールスをもって一瞬にしてカリー好きの心を奪いました。
お米のスープから始まる「スペシャルランチミールス」(2,000円)の内容がとてもいい。
2020年オープンにして、もはや別次元の領域をいく沖縄カリーの実力派です。

北谷町

インドカレー・スパイスカレー Indira

沖縄県中頭郡北谷町北前1丁目17−9

創業/2020年

北谷町、アラハビーチ沿いの、もはやそこはインドなインドカリー。いただいたのは、インディラセット(1,000円)。
暑い日に、思いっきり汗を搔くのもいいだろうと辛さを激辛にしたら、大丈夫か?と3回聞きにきたから涼しげに大丈夫だと言ったけど大丈夫じゃなかった。
でも美味しい。

コザ

クンセイカレー部

沖縄県沖縄市園田3丁目1−21 大屋ビル 3F

北部から那覇への帰り道、コザ。なんでも、バーとの二毛作なカレー屋があると聞いて行ってみた。
「クンセイカレー部」
いただいたのは、トリプルカレーのL。1,080円。安!!
サイズは、ルーの量だそうで、ご飯はおかわりOKなんだそう。チョイスしたカレーは、スパイスチキンカレー、カキグリーンカレー、ポークビンダルーのトリプル。
どれもさいこーに美味しい!
カキグリーンカレーは、広島の大粒の牡蠣が2つもゴロっと入ってて、唯一無二なお味でgood!
副菜も絶妙によくて、奥行き広くずっと楽しい一皿でした。ルーをLにしたし、ご飯おかわりして舐めるように完食。
ごちそうさまでした。
お会計で、1,080円が改めて尊く感じて、感動してると、店主から耳を疑う一言が。
「駐車場代200円キャッシュバックです」

読谷村

コフタ

沖縄県中頭郡読谷村大木 375 番地 A-23

創業/2018年

沖縄のカレー界にまたひとつ強力な新星現る。(2019年初訪問時のレビュー)
ないちゃーの店主は、宮古島のカフェで美味しいカレーに出会い、そこで5年、経験を積んだそうです。
カフェの閉店を機に、それを遺すために受け継ぎ、更なる個性をプラスして昨年5月、読谷村にオープン。
地元食材、無化調にこだわった、本格派南インドカレーが、朝8時から楽しめます。
早速、朝食で。
プレートには、本日のカレー3つ、
やんばる若鶏のココナッツカレー
トマトフィッシュカレー
3種の野菜のサンバル
そこに、
ターメリックライス、パパド、ラッサム、エッグマサラ、キーマ、マサラワダ、タール、パチャディ、サブジポリヤル、ピクルス、パパイヤ
の全部のせ。おいしい!!

名護

niceness

沖縄県名護市宇茂佐1635−1

創業/2015年

名護のネパールカレー。
やんばるの野菜と米、豆を使った、すごく身体に優しいカレー。美味しい!
・・・
久々の沖縄でトップクラスに好きなカレー。

ベジタブルカレーをいただきました。
ただただ感動です。

Warung Rempah

沖縄県名護市城1丁目2−8
※Picは本部町のときのもの

モトブの魅力は、キレイな海だけではない。
モトブの森をぐんぐんいくと、静寂に野鳥の鳴き声と草木が擦れる音しか聞こえてこない、まるでインドネシア、ウブドの森のよう。
その中で、スパイスがっつりインドネシアン朝カレーがしっかりリピートです。
“伊江牛すじ肉とヤンバル若鶏の南の島ごはん”

3種のフリートッピングもおさらいしておきましょう。
・サンバルヒジャウ(Sambal hijau)・・・青唐辛子ベースの激辛香辛料
・サンバルコレック(Sambal korek)・・・赤唐辛子ベースの辛味香辛料
・サンバルトマト(Sambal tomato)・・・トマトベースのマイルドな香辛料

味変でスパイス増し増し、一気にエネルギー沸騰してきます。この上ない、唯一無二の味わいと美味しさ。

宮里そば

沖縄県名護市宮里1丁目27−2

創業/1974年

名護の老舗沖縄そば屋「宮里そば」でいただく、出汁の効いた昭和のカレー(500円)。沖縄そばと共に不朽の名作です。

今帰仁村

コマゲン

沖縄県国頭郡今帰仁村湧川591

創業/2020年

今帰仁村の森の中にひっそりと佇む、ここはタイ料理の店。
手作りなんだろう、その店構えは日本じゃないどこか異国の地を思わせる、自給自足的な原始的な雰囲気漂う、この時期もエアコン要らずの快適空間です。
タイ料理、というよりもタイカレー決め打ちでここを訪れました。店先にまだ余韻残る焚火の形跡、入口すぐ脇にはドラムセットが置かれ、きっと音楽イベントを頻繁にやっているんだろう。周りなんにもないから爆音で。
美味しかった、ハイレベルで、タイカレー美味しかった。
マサマンカレーと豆のヴィーガンカレーの2種盛りカレー、さいこー!

本部町

スーリヤ食堂

沖縄県国頭郡本部町伊豆味378−1

創業/2015年

ギリギリ神戸出身の女性店主が、南インド修行を経て辿り着いたこの地で創り出す、スパイスの神プレート。
豆のせんべい、パパド(pāpad)をごはんの上で砕いて、そこにまったく方向性が異なる三種のカレー、旬の沖縄野菜、地鶏、サンバールとカレーの三種の神器、ポリヤル(poriyal)、アチャール(achaar)、パコラ(pakorā)とを混ぜ合わせていただく南インドスタイル。
絶望するほど、美味しい。

コメントを残す